アネモネのPSO2での冒険の記録です。
マ○オが攻略できないライトユーザーなので、攻略に役立つような内容はないです。
まったり遊んでる記録を残してます。更新も記事の内容もマイペースです。
リリパ成分多め。りっりー♪
(所属シップ・4(メイン所属)&10 メインキャラ:アネモネ サブ:メア、アネモネ(デューマン) 他)
※ブログ内の私のイラストは転載禁止です。
その花が咲く事はなかった。
その花は咲いたとしても、きっとすぐに散りゆく運命だっただろう。
だって、俺たちが知ること無く散ったその花の名前は、 だったから。
今となっては芽吹いた希望だけが、ただ残酷に残された。
◆◆◆
「イシュエル、イシュエル……いってき、ますー!」
「それじゃ行ってきますね、イシュエルさん」
「へいへーい、いってらっしゃーい」
朝、玄関先で妙にめかし込んだアネモネとメアが俺の見送りに手を振り返す。今日の二人は俺を除け者にして、二人で楽しくデートらしい。
まぁ、ホントはただ帝都に出来た新しいケーキバイキングの店に行くとかで、ただそれだけなのだが。
俺も二人に誘われたけども甘いものは遠慮したいので、二人で行って来いと辞退してこうして今見送りすることになってるだけだ。
アネモネはナマミソをしっかり胸に抱え、メアも大事なうさこを腕に抱いていた。あぁ、デートは二人じゃなくて二人と二匹だな。
「いっぱい、食べてくる……!」
「おー食ってこい食ってこい。でも帰ってきたら体重二倍になってたとかは止めろよ、さすがの俺も泣く」
「むっ……き、きをつける、もん……!」
俺のからかいを真に受けるアネモネに俺は笑い、手を振って二人を送り出す。
「それじゃ、午後には帰って来いよー」
「はぁい」
「メアはアネモネのこと、頼むな。そいつ、常にフラッフラしてるから」
「わかってます。それじゃアネモネさん、行きましょ。人いっぱいだろうから、ナマミソちゃんとはぐれないようにしてくださいよ?」
「はぁい」
「……マジでアネモネ、大丈夫なんかな。ホント、フラッフラふわっふわしてて心配だぜ」
少し不安はあったが、楽しそうな笑顔で玄関を出て行く二人を見送る。全てがいつもどおりの日常の始まりと同じで、そこに何らかの前兆や違和感は何も無い。
だけど、それが俺がアネモネを見た最後となった。
◆◆◆
イシュエルに見送られた二人は、鉄道を利用してヴァルトリエの帝都へ向かっていた。
「メア君、メア君……たのしみ、だねーっ。おいしいもの、いっぱい……だよ、ね」
「そうですね、いっぱいだと思います。……イシュエルさんも、来ればよかったのに」
「イシュエル、こないよ……あまいの、苦手だもん……かわいそうな、男、ね」
「ですよねー。甘いもの嫌いとか、人生損してますよー」
「ねー」
不規則に揺れる列車内の人はまばらで、二人はそんな車内の隅の座席に並んで腰をかけて、流れる外の景色を見つつ楽しげに言葉を交わしていた。
やがて列車はアネモネたちが目的とする駅で停車し、二人はそれぞれにナマミソとうさこを抱いて列車を下りる。二人が下りた後の列車は入れ替わるように人が多く乗り込み、帝都の人の多さに二人は毎度の事ながら驚かされていた。
「うぅ……相変わらず、人がいっぱいですね……」
「だね……」
人込みが苦手な二人は、駅の混み様に少し不安げな表情で立ち尽くす。しかし直ぐに次の列車を待つ人の波が押し寄せ、立ち止まる二人は邪魔だとでも言うかのように波に押されて歩く事を余儀なくされた。
「と、とりあえず駅を出ましょうか……」
はぐれないようにとうさこをしっかり抱きかかえたメアが、既に少し疲労した様子で呟く。そんな彼にアネモネは「手、繋ぐ?」と声をかけた。
「はぁ?! な、なんでですか」
「……ひと、いっぱいだと、迷子になる……はぐれちゃう、よ……? はぐれた、ら……こわいでしょ? 手、繋いだ方が、いいんじゃない……?」
「や、やですよ! 子どもじゃないんですからっ」
アネモネの提案に、メアは恥ずかしそうに顔を赤くして拒絶を返す。アネモネは少し残念そうに眉根を寄せ、「メア君は、こどもだよ」と呟いた。
「あ、俺のことバカにしてます?」
「ちがう、よ……メア君、わたしより、こどもだもん……わたし、大人だから……なにかあったら、私が……メア君、守ってあげない、と……」
真剣な表情でそう言うアネモネに、メアは目を細めて「アネモネさんが大人ぁ?」と反射的に返した。
「どこが大人なんですか……どーかんがえても迷子ではぐれるのはアネモネさんのほうでしょ」
メアのこの言葉に、アネモネも少し怒った様子で反論する。
「わたし、大人だよ……イシュエル、そう言ってた、もの……メア君、は、まだ……こども、でしょ? 私が、面倒、みないと、いけないはず、だよ」
「イシュエルさんは俺にアネモネさんの面倒見るように言ってましたけどね。ほら、家出るときそうじゃありませんでした?」
「むぅ……」
メアの言葉にアネモネは不満げに目を細めたが、しかし言い争っても仕方ないので、彼女は諦めるように小さく溜息を吐く。
「はぐれて、泣いても……しらない、からね……」
「それはこっちのセリフです。……ほらアネモネさん、行きましょう」
メアはそう言って駅の出口へと歩き出す。アネモネも彼の背中を追い、人込みの中をその波に流されぬよう歩みを進めた。
◆◆◆
ヴァルトリエの郊外、喧騒で賑わう町並みが見下ろせる小高い丘で、その人物は静かに佇んでいた。
口元には微笑を湛え、彼女はただ無言で普段となんら変わりない光景を見下ろす。色素の濃い桃色の長い髪と、彼女が身に纏う漆黒色のドレスが小さく風に靡いた。
「イレイン」
静かな声が、背後から彼女の名を呼ぶ。イレインと呼ばれた女性は振り返ることなく、「なに?」と返事を返した。
「準備は出来たの? イリス」
自分に声をかけてきた人物を確認しないまま、彼女はそう返事する。イリスは「えぇ」と、背を向けるイレインを見つめながら頷いた。
「いつでも彼を転送できる」
「そう……じゃあ、そろそろ行きましょうか」
眼下の町並みを見下ろしたまま、彼女はそう呟く。他者を纏った彼女の表情は優しげな印象の少女だったが、その眼差しには残酷な光が宿っていた。
◆◆◆
お昼が少し過ぎたという時間、帝都の町並みを並んで歩くアネモネとメアの表情は満足げなものだった。
「おいしかった、ねぇ……」
「ですねぇ……」
満足するまでお腹いっぱいに甘いケーキを食べてきた帰りの二人は、その余韻に浸りながらゆっくり駅を目指して歩く。二人はそのまま駅に向かってまっすぐ家まで帰る予定だったが、ふとアネモネが足を止めてこう口を開いた。
「あ、せっかく、だし……イシュエルに、なにかおみやげ、買ってこう、か……?」
アネモネが思いついたようにそう提案すると、メアも「あぁ、そうですね」と頷く。
「せっかく来たんだし、なにか買って帰ってあげたほうが喜びますよね」
「うん……」
うなずいたアネモネは周囲をきょろきょろと見渡し、何かちょうどいいお店は無いかと捜す。そして彼女は酒販店の看板を見つけ、「あっ」と声をあげた。
「メア君、あそこいこう……イシュエル、お酒すきだか、ら……あそこで、おいしそな、お酒、さがそ……!」
ナマミソを抱きしめながら、アネモネは隣に立つはずのメアに声をかける。しかし、メアからの返事は無い。
「……メア君? 聞いてる……」
メアの返事が無いことを不思議に思ったアネモネが、視線を店の看板から外してメアに戻す。だけどほんの数秒前までそこにいたはずのメアの姿は、どこにもいなかった。
「……メア君?!」
メアの姿が無いことにアネモネは動揺し、彼女は思わずその場で声を大にする。
「メア君っ!? メアく……どこ?!」
周囲の人間が叫んだアネモネに視線を向ける。だけどアネモネはそんな視線などお構いなしに、メアの名を呼んだ。
「メア君! メア君、どこに、いったの?!」
メアが大事に抱えていたうさこも、この場にはいない。アネモネは押し寄せる不安から自分を守るように、ナマミソを強く胸に抱きしめた。
「メア君……っ!」
◆◆◆
それは突然のことだった。視界が歪み、世界が漆黒に包まれる。
体を包む浮遊感に戸惑うより先に、彼は”導かれて”いた。
「っ……」
目を開けると、そこはほんの数秒前まで自分がいた人で賑わう町の雑踏の中ではなく、正反対に静寂に包まれた見知らぬ小高い丘だった。
「こ、ここ、は……?」
彼――メアは不安に怯える表情で周囲を見渡し、胸に抱きしめたうさこをさらに強く抱きしめる。うさこもメアと共に何者かに突如転送されたようで、うさこは自分を抱きしめるメアを不安げに見上げて「きゅうぅ」と鳴いた。
「ここ、どこ……アネモネさん……アネモネさん、どこですか!?」
自分が転送されたということがまた理解できず、メアははぐれてしまったアネモネの姿を捜して周囲を見渡す。だが当然、周囲にアネモネの姿は見えない。
「アネモネさん……アネモネ、さ……」
「アネモネはいないわ」
アネモネは当然、自分以外誰もいないと思われたこの場に、自分以外の声が風と共に流れてメアは顔を上げる。
反射的に声の聞こえた方へ振り返ると、メアは視線の先に見た存在に目を見開いた。
「あね、もね、さん……?」
思わずそう呟き、しかし『違う』とメアは頭の中で否定をする。
見開かれた彼の紫電の瞳に中に映ったのは、”アネモネ”だった。だけど、それは彼女ではない。ただアネモネという名の存在を身に纏った、彼女と瓜二つの容姿と体型をした女性だった。
アネモネによく似た……いや、アネモネそのものの姿をした彼女は、しかしアネモネではないということがメアにも即座に理解できた。
自分を見つめ返す彼女の瞳は真紅に近い桃色で、髪色もアネモネとは違う色素の濃い桃色だ。だけど違いとは、そういう部分ではない。薄く口唇を吊り上げて微笑する彼女の瞳は優しい感情など微塵も存在せず、残酷な感情だけがそこには映る。その目は、頼りなくとも他者を気遣う優しい目をした彼女とは全てが違っていた。
「あなた……だれ、ですか……?」
メアは目を見開きながら、声を震わせながら問いを呟く。その震える声の意味は、怯えだった。
メアの前に立つ彼女は、静謐な笑みを口元に湛えたままメアを見据え、再び口を開く。
「……はじめまして、生贄の子」
その言葉の意味を、メアが知ることはなかった。
◆◆◆
「メア君……メア君……っ」
泣き出しそうな声で大切な彼の名を呼びながら、アネモネは雑踏を掻き分けて走る。行く当てなどない。メアがなぜ突然消えたのか、彼女にはその理由はわからない。だから彼がどこに行ってしまったのかもわからないのだ。どこに行けば彼を見つけられるのか、当てはなかった。
「メア君、どこ……どこいった、の……メア君……っ!」
だけど彼女は消えた彼を捜して、声を上げる。当ては無くとも、彼を絶対に見つけなくてはいけないのだ。周囲の視線など気にならず、アネモネは叫びながらメアを捜し走った。
「メア君……メア、く……はっ……はぁ……」
乱れる呼吸を整える為、アネモネは一旦足を止める。
元々そんなに運動は得意ではなく、それに体力も無い彼女だ。突然消えたメアを捜して気が動転していたこともあり、闇雲に街中を走っていたために、彼女の少ない体力は早々に消耗していた。
「メア、く……どこ、いったの……?」
彼が姿を消したことに、何か胸騒ぎがした。だからこそ彼女はメアを捜して必死だったのだ。何か恐ろしいことが起きるような、そんな予感のようなものを感じる。なぜそんなふうに思うのかは、彼女自身もわからないのだが。
「……はっ……メア君……」
抱きしめるナマミソが心配そうな眼差しをアネモネに向けてくる。それに気づき、アネモネは少しだけ落ち着きを取り戻して小さく微笑みを返した。だけどすぐに彼女の表情は、険しいものに戻る。
「……メア君……」
彼女にとってメアは大切な存在だった。彼を召喚したのは彼女で、だけど自分はなぜ彼を自分の元に呼んだのかを忘れてしまった。
なぜ自分を呼んだのかをアネモネが忘れてしまった為にメアは元の世界には帰れず、結果アネモネは彼をこの世界に拘束してしまうこととなった。
それはひどく申し訳ない行為なのだが、しかしメアはその境遇に悲観し落ち込むことはあったが、その元凶であるアネモネを責めることはせず、それどころか傍にいて日常では支えになってくれていたのだ。
メアに対する負い目もあり、その上で自身の傍で自分を励ましたり心配をしてくれる彼は、アネモネの目には特別な存在へと映りを変える。
すぐにメアはアネモネにとってただの”召喚した存在”から、それ以上の存在に変わっていた。
そんな彼を今、彼女は失いかけている。
「やだ……メア君、私のそば、はなれないで、よ……っ」
願うように、アネモネはそう小さく呟く。そうして彼女は顔を上げ、再びメアを捜して走り出そうとした。しかし、そんな彼女を呼び止める声が背後から聞こえる。
「……何をそんなに必死にさがしているの?」
「え……?」
予想外に声をかけられ、アネモネは驚いた表情で振り返る。たくさんの見知らぬ人々が行きかう中で、アネモネは声がした方向に唯一知った存在の姿を見つけて口を開いた。
「……あなた、は……メア君、の……」
アネモネの視線の先には、ひどく中性的な容姿の青年の姿があった。だけど彼女は青年が”彼”だということは知らない。ただ以前メアがバイトをしていた喫茶店で、彼と共に働いていた人だという知識しかアネモネにはなかった。
「えっと……たしか……」
「……私がダレだか、思い出すのは後でいいよ。それよりも……」
青年――イリスは湖水のような色の目を意味ありげに細め、アネモネを見据えて口を開く。
「あなたが捜しているのは、悪魔の少年?」
イリスのその言葉に、アネモネは目を見開いて反応した。
「あなた、メア君が……どこに、いるか知ってる?!」
アネモネの問いに、イリスは小さくため息を吐いてからこう返す。
「えぇ……知ってる」
「!?」
アネモネにとっては予想外の返事がイリスの口から返ってきて、アネモネは『なぜ知っているのか』という疑問より先に「どこにいるの!?」と問いを重ねる。
アネモネは泣きそうな眼差しでイリスを見つめ、反対にイリスは感情の無い眼差しをアネモネに返した。
「知りたい? 彼の居場所」
「おし、えて……知ってる、なら……おしえて、ほしいよ……!」
知りたいと願うのは当然のことだった。イリスもアネモネの返事など、聞かずともわかっていただろう。それでも彼がアネモネに問うた意味は、アネモネに”覚悟”を問う意味もあった。
「……彼の居場所を、私は知っている。そしてそこにあなたを導くことも出来る。だけど……」
「みちび、く……? どういう、いみ……?」
イリスの言葉に本能的に不安を察したアネモネの表情が歪む。イリスはそれでも感情を隠したまま、アネモネに言葉を続けた。
「あなたがそこに行けば、あなたはきっと死ぬ」
「え……?」
イリスが何を言っているのか、アネモネにはすぐには理解が出来なかった。
「しぬ……? わたし、が……?」
なぜ、という問いがアネモネの口から漏れる前に、イリスはまた口を開く。
「今のあなたでは、彼女には勝てないから。ううん、今のあなたのカスパールじゃ、彼女を殺せない。返り討ちにあって、終わりでしょう」
「……何を、言ってるんです、か……?」
不吉な予言のようなイリスの言葉を聞き、アネモネは呆然とした表情で当然の疑問を呟く。そう、アネモネにはイリスが何を言っているのか理解が追いつかない。彼の言葉が信じるに値するものなのかの判断すら、今の彼女には出来なかった。
何もかもが理解できないまま、しかしイリスはアネモネに判断を迫る。その判断の言葉は――その真偽はともかくとして――、アネモネにとってまさに覚悟を問う重い決断を求めるものだった。
「それでも……あなたは彼を助けるために、自分の命を捨てる覚悟はある?」
「なに、を……」
本当に、一体なにを言っているのか……と、それを問いたいアネモネを前に、ここで初めてイリスは彼女に感情を見せる。彼はアネモネに手を差し伸べ、小さく笑った。どこかさびしい笑顔で、彼はアネモネに最後の問いを向ける。
「さぁ……覚悟があるなら、私の手をとって。メアを助けたいならば、私が彼の元に連れて行ってあげる。だけど、そこであなたは死ぬでしょう。メアを助けるために、彼女と戦ってあなたは死ぬ」
「っ……」
断言する彼の言葉は重く、ただの予想だというのにまるで決められた運命を告げるかのような強い意味を持つ言葉だとアネモネに錯覚させる。アネモネは蒼白な顔色でイリスの差し出した手を見つめ、視線をまたイリスに戻した。
「かのじょ、って……だれ……?」
アネモネの問いに、イリスは答えない。彼はそれ以上はもう口を開くことはせず、アネモネにただ手を差し伸べ続けた。
◆◆◆
「いけにえ……? なに、言ってるんですか……」
自分の前に突如現れたアネモネによく似た女性、その彼女が放った不穏な一言に、メアはなお一層身構える。女性はどこか歪な笑みをメアに向け、彼の反応を楽しむように目を細めた。
「っていうか、ここどこ……なんで俺、こんなとこに……っ」
混乱したままメアがそう周囲を再度見渡しながら言うと、女性は小さく何かを呟きおもむろに腕を振るう。すると突如女性の体から漆黒が溢れ出し、メアは思わず目を見開いた。
「それ……アネモネさんと、同じ……!」
”カスパール”と、メアがそう呪われた武器の名を口にしようとしたとき、それより先に女性が朱を塗った唇を妖艶に歪めたまま口を開く。
「カスパール、じゃないの。これはただのレプリカだから。本物は今、アネモネが持っているあれよ。でも、やっぱりこれを知っているのね」
彼女の体から溢れ出るようにして生まれた闇は、彼女の手元で瞬く間に何かの形を成す。その光景はやはり、アネモネのすぐ傍にいたメアには見慣れた光景だった。
彼女の手に集まった闇は、刀身の細い漆黒色の剣の形となって彼女の手に握られる。
「レプリ、カ……?」
「そう。でも、よくできてるでしょう? ちゃんと、これでも武器として機能するのよ? これであなたをころすことも出来る。ただ、本物と違って……私をころすことは出来ないけれども」
彼女はそう言ってクスクスと控えめに笑う。だがメアには不可解な言葉が多過ぎて、なぜ彼女が笑うのか理解できなかった。
「殺す……? 何を……どういう、意味です……」
「意味を知りたい? 知ってどうする? 消え逝くしか道のない存在のあなたに、意味は無意味よ。そうとわかっていても、意味を求める?」
「え……?」
「……いいでしょう、ほんの少しだけお話をしてあげる。お話の間に、邪魔が入らなければいいのだけども……」
意味深にそう呟き、彼女は真紅の目を細める。そうして彼女はメアにほんの少しの真実を語り始めた。
◆◆◆
結局アネモネはイリスについていくことを決めた。彼の手をとり、アネモネはメアの元へ行く事を選択する。
イリスが、信用に値する人物なのかアネモネにはわからない。だけど、今は彼の言葉を信じてついていくしか選択肢が無いようにも思えた。
イリスの手をとり、彼の転送術で彼と共にやってきた場所は見知らぬ丘だった。
転送されたアネモネは見知らぬ丘の光景にも驚いたが、それ以上にイリスの正体を知って驚きの表情を彼に向ける。
「……あなた、も……悪魔、だったんだね」
術を使うために擬態を解き、今現在のイリスは自身の本当の姿を晒している。握っていたアネモネの手を解いた彼は、寂しげに笑ってアネモネを見返した。
「そうだよ。……あなたなら、とっくに気づいていると思ったのだけど」
今のイリスは人ならざるものを示す黒い二本の角が頭から生え、蜥蜴を思わすような異形の尻尾までもが臀部上から生えている。
同じ悪魔を召喚し傍に置いているアネモネなら、人に化けていたとはいえイリスの気配から彼がメアと同じ存在だということを察していたのではないかと、イリスはそう思っていたのだろう。アネモネ自身もイリスの存在に引っかかるものは感じていたので、彼の返事に少し困ったような表情を返した。
「あなたの目的、は……それに、ここは、どこ……?」
「目的は私の口からは言えないけど、ここがどこだかはさっき言ったでしょう? ここはメアの居場所、そして……あなたの死に場所でもある」
「……」
自分の死に場所だと断言されるといい気分はしない。アネモネは思わずイリスを睨み、イリスはそんな彼女の反応になぜか小さく笑みを返した。
「……め、メア君、どこ……? ホントに、ここにメア君、いるの……?」
行動が読めない不可解なイリスの反応から目を逸らし、アネモネは改めて周囲を見渡す。背後に木々が生い茂る丘は見晴らしが良いが、しかしイリスの言うようにこの辺りにメアがいるような気配はない。
するとイリスも周囲を見渡し、少し困った表情を見せて独り言のようにこう呟いた。
「あれ……んん? 少し場所、ズレたかなぁ?」
「……め、メアくん、どこ! いないの?! ねぇ、ここ、いるっていった、じゃん……!」
イリスの呟きを聞き、アネモネは思わず不安げな顔で彼に問いただす。そんな焦る様子をみせるアネモネに、イリスは苦く笑って「大丈夫」と返した。
「多少ズレたかもしれないけど、近くにいることは確かだから。……こっちかな?」
そんなことを言いながら、イリスはアネモネに背を向けて勝手に歩き出す。アネモネは驚いたように目を丸くした後、「まって」と小さく言ってイリスの後を追った。
どれほど歩いただろう。距離的には、そこまで歩いてはいないと思う。しかし不安を抱えながら考え事をしていたアネモネには、長い時間にも思えた。
(私の、死に場所……? どういう、意味だろう……私、死ぬの……?)
イリスの言う”彼女”とは一体誰なのか。メアは何故、消えたのか。死に場所という意味は何なのか。
突然の出来事に疑問は多く、それに対する答えはおそらく直ぐ傍に用意されている。だけど、なんだか知るのが恐く感じた。
知りたい、だけど知るのが恐い。そんな相反する感情が自身の中でせめぎ合う。このままイリスの後をついて行っていいのだろうか……一瞬そう思い無意識に足を止めるも、すぐに脳裏に浮かぶメアの姿がアネモネの足を進めさせた。
「久しぶりね、アネモネ」
唐突に声をかけられ、思考を中断されたアネモネは足を止めて振り返る。考え事をしていたせいだろうか、人の気配は感じなかった。
「!?」
振り返った先、そこにいた存在を見て、アネモネは驚愕に目を見開く。彼女は思わず震える声で、こう言葉を返した。
「あなた……一体、誰ですか?」
紫がかった蒼の瞳の中に彼女が映したものは、自身と同じ容姿・体型をした人物。違うのは髪の毛や瞳の色、服装くらいだ。それ以外は自身と不気味なほどに瓜二つの存在をそこに見て、アネモネは蒼白な顔色となった。
顔色を悪くした理由はそれだけではない。ただでさえ不気味な瓜二つの存在に、アネモネは本能的に恐怖を感じたのだ。言葉では上手く説明出来ないが、アネモネは圧倒的な恐怖を彼女から感じ取る。いや、それはまるで自分の体に彼女に対する”恐怖”が染み付いているかのように、恐怖を思い出すような感覚だった。
(わたし、こんな人、知らない……はず、なのに……)
見知らぬ存在に対する潜在的な恐怖の感情に戸惑い、アネモネは僅かに後退る。しかし彼女の後ろに立つメアの存在に気づき、彼女はハッとした表情で声を上げた。
「メア君っ!」
アネモネの呼びかけに、メアは俯いていた顔をゆっくりと上げる。その表情は何処か虚ろで、アネモネは思わず眉根を寄せた。
「メア君……?」
言いながらアネモネはメアへ近づこうと一歩を踏み出す。すると次の瞬間、メアの口からアネモネの予想だにしない言葉が放たれた。
「来ないでっ!」
「え……?!」
拒絶された事に驚き、アネモネは困惑の眼差しをメアに向ける。メアは完全にアネモネを拒絶し、その瞳には敵意すら存在していた。
「めあ、く……?」
拒絶されたショックと混乱でどうしたらいいのかわからず立ち尽くすアネモネに、メアは彼女へ憎悪を吐き捨てるように言う。
「……あなたって、最低ですね……勝手過ぎる……」
「なに、を……言って……」
蒼白な顔色のままメアの言葉に傷つくアネモネに、二人の間に立つ彼女――イレインは小さく笑む。二人が再会する直前に彼女が巻いた災いの種は、茨の花を咲かせて思惑通りにアネモネの心を抉った。
「メア君……どうし、たの……? ねぇ、なんで……なにが、あったの……?」
「……この人に、聞いたんですよ……あなたが俺を召喚した理由を」
「……なに、それ……どうして、この人が、知ってるの……? 私でも、覚えてない、のに……」
アネモネの疑問に、メアではなくイレインが口を開いて答える。彼女は血のように赤い唇の両端を僅かに吊り上げ、優しく子に語りかけるようにアネモネへと言葉を向けた。
「私はあなたのことをよく知っているの。残念ながら、あなたは私を忘れてしまったようだけど」
「え……」
茫然とした眼差しを自身に向けるアネモネに、イレインは尚唇の端を吊り上げる。それは魔女の笑みだった。
「酷い子ね。私のことを決して忘れないように、何度も何度も私という存在を貴方の体に刻み付けてあげたのに。痛みという形で、何度もね」
イレインのその言葉を聞いた瞬間、アネモネの背筋に悪寒が走る。覚えていないはずの”痛み”は、しかし未だにアネモネの呪縛となって確かに彼女の体に刻まれていた。
「ぁ……っ」
思い出せない恐怖がアネモネの体を支配し、硬直させる。イレインはそれを理解した笑みでアネモネを見つめ、表面上だけの優しい声音で彼女へと囁いた。
「あぁ、”痛み”は覚えててくれたのね。……よかった、いい子ね。イリスからあなたの記憶が無い様子と聞いて心配したけども、ちゃんと体は記憶してくれてたようで安心したわ」
自分とそっくりの女性、覚えの無い恐怖に凍りつく体、不可解な言葉、メアの拒絶――全てにおいて自分だけが理解の外側に追いやられ、もはやアネモネは何を問い何を理解すればいいのかもわからなくなっていた。
ただ一つ、今のアネモネに理解できることは、自分とメアを分かつように立つこの女性が、今のこの状況の全ての元凶であろうということだけ。
「でも、やっぱり寂しいわね。あんなにあなたの面倒を見てあげたのに、そのことも全て忘れてしまったなんて……」
「……んど、う……? あなたは、私の、なんなのですか……?」
やっと搾り出した声は恐怖に震えて掠れていたが、しかし問いかける行為はただ立ち尽くしているしかなかったアネモネに、行動する力ときっかけを与える。アネモネはもう一度、今度は先ほどよりかはしっかりした声でイレインに問いを向けた。
「あなた、だれ?」
何度か問うたその言葉に、まだ明確な答えは返してもらっていない。アネモネは自分を勇気付けるように、気を強く持つためにイレインを睨みつけて問うた。
「私は、あなたなんて、しらない。あなたが、メア君を、さらったの? メア君に、なにか、ふきこんだ、のね」
正直まだ事態の把握は出来ていないし、メアに拒絶されたショックは大きい。それでも今のこの現状を打開する為には、自分は行動しなくてはいけないとアネモネは気がつく。
イレインやイリスの言葉に翻弄されて彼女たちに流されるままでは、メアを救うという目的は達成できない。
「メア君を、かえして……メア君は、わたしの、だいじな、ひとなのっ」
見失いかけていた自分の目的を口にし、アネモネは静かに臨戦態勢を取る。いつでもカスパールを呼び戦えるよう、彼女は構える姿勢を見せた。
一方で戦闘体勢をとるアネモネの言葉に対して、イレインは姿勢は変わらずに感情の無い笑みのまま返事を返す。
「返して? 私は別に彼を拘束してるわけじゃないし、それに彼はあなたを拒んでいるようだけど……」
「それは、あなたが、何かふきこんだ、からで、しょ……! きっと、うそ、おしえたのよ……」
「都合のいい妄想ねぇ……相変わらず、あなたは自分に甘いのね。現実から逃げる為に、優しい夢ばかり見る」
「っ……」
「そうやって、弱い自分を守っているのね。わかっているわ」
唇を噛み締めるアネモネに、イレインは冷酷な笑みを浮かべて言葉を紡ぐ。
「辛い事も都合の悪い事も、全てを忘れることであなたは自分を守っている。……でもね、そんな心の弱い子は、私は認めないわ。私はあなたに、強くなってほしいの」
唐突に、まるで母のように慈愛に満ちた眼差しとなってアネモネを見つめ、イレインはそう告げる。その表情にアネモネは一瞬驚きに動揺の表情を浮かべた。
「そう、強くなってほしい……忘れて、逃げるなんて許さないわよ。あなたが私をその手でめちゃくちゃに破壊したこと、忘れるなんて絶対に許さない」
「え……?」
イレインの言葉に、アネモネはまた茫然と立ち尽くす。
「あなたは私が何か、と聞いたわね。……私はあなたを助けてあげたのよ。人殺しのあなたを助けてあげたの。それに対するあなたのお礼は、私の体をカスパールでぐちゃぐちゃに引き裂く事だったけれども」
優しげな眼差しはそのままに、イレインはアネモネにとって衝撃的な言葉をむける。その言葉を聞き混乱するアネモネに、イリスの小さな囁きは聞こえなかった。彼が何をしようとしているかも含めて。
『真名と共に我と新たな契約を結べ――バルタザール』
いつの間にかメアの傍へと移動していたイリスは、彼へ向けて手を翳しながらそう呪文のような言葉を向ける。そして次の瞬間メアの体から白い光が溢れ出し、アネモネはハッとした様子で彼へ意識を戻した。
「メア君っ!」
メアの体から溢れた光は、何かの形を成してイリスの手に収まる。それは白銀に輝く剣のようだった。そう、まるでカスパールのように、その光は武器に形を変えた。
「あ……」
一方でメアは何か驚きの表情を浮かべて、イリスを見つめる。彼も何か混乱している様子で、震えるうさこを強く抱きしめながら「それは……」と小さく唇を動かした。
「そ、それは……かえ、し……」
「ごめんなさい。返してあげたいけど、それは出来ないの。あの子からカスパールを奪うより簡単だったから……。あなたはこれをただ”持っているだけ”のようだし、契約者じゃないなら奪うのに面倒な手間も省けるから……これ、貰うね」
そう言い終えると同時に、イリスは手にした白銀の剣でメアの体を貫く。白い刃が真紅に染まるのは、一瞬の出来事だった。だけどメアの身に起きた事態を、アネモネが認識し理解するのには数秒を要する。
「あ、ぐっ……っ」
苦しげな声を小さく漏らし、その場に崩れ落ちるメアの体。地に伏せた彼を見下ろしながら剣を抜くイリス。目の前の出来事が、夢か幻に見える。だけど。
「めあ、く……」
「アネモネ、しっかり見なさい。今あなたが見ているものは現実よ。夢ではない、幻でもない。今度は忘れることも許さない。どうしようもなく弱いあなたにはどうすることも出来ない、そこにある現実よ」
倒れたメアに駆け寄って泣くうさこの小さな声が、逃げる事を許さないイレインの声が、メアの苦しげな呻き声が……全てがアネモネに現実だと、そう伝える。
「……ぃ、や……メアくんっ!」
アネモネは半狂乱の声でそう叫んだ後、イリスを強い憎悪の眼差しで睨みつける。彼女は迷うことなくカスパールを呼び、その両手に漆黒の巨大な鎌を握り締めた。
「……るさない、ゆるさない、ゆるさないゆるさない……あなたはゆるさない、ころしてやる……っ」
自身の背丈を越える巨大な漆黒の鎌を握り締め、アネモネは呪詛のようにイリスへ怒りの言葉を向ける。イリスは朱に染まった白の剣を握ったまま、そんなアネモネへ視線を僅かに向けたが、まるで意に介さない様子ですぐに視線を逸らした。そして彼はメアから奪った剣――バルタザールをイレインへと渡す。
「準備出来た。あとはあなたの好きにして、イレイン。……でも、約束は守ってね」
「えぇ」
イリスから剣を受け取り、イレインはアネモネに再度向き合う。アネモネは二人のやりとりに一瞬困惑した表情を浮かべたが、すぐに彼女は殺意を思い出し、カスパールをその場で大きく振り抜いた。瞬間、紫電の衝撃波がカスパールから放たれる。
だがイレインは落ち着いた表情でバルタザールを前に掲げ、その衝撃波を受け止めてみせる。アネモネの放った衝撃波は、バルタザールに接触すると音も無く霧散して消えた。
「……本来なら同じくらいの力の武器のはずだけど、やはりメアの力を吸った今なら、こちらの方が優位なようね」
イレインはそう呟くと、朱色の唇を吊り上げる。そして彼女はアネモネを挑発するように、彼女へこう言った。
「どうしたの? あなたの本来の力はそんなものではないはずよ。それに、あなたの本分は術でしょう?」
そう言って笑うイレインの言葉に、アネモネは忌々しげに唇を噛む。何故アネモネが呪術を使わず攻撃したのかは、イレインたちのすぐ後ろに倒れるメアに攻撃が当らぬようにだ。当然イレインも、それをわかっていてアネモネへと問いを向けていた。
「……ふふ、”あの時”みたいに完全に理性を失って攻撃してくれたら面白かったのだけど、どうやら今はそうではないみたいね。……少し、残念」
「なに、を……いって……」
「……理性を失って殺戮に狂ったあなたは素敵だったわよ。あの時は久々にドキドキして、興奮した。……だけど、今のあなたはつまらない。そんな子じゃなかったのに……本当に、残念だわ」
イレインは笑みを消し、手にしたバルタザールの形状を白く輝く弓矢へと変える。そして弓矢を構え、彼女はアネモネへと静かに告げた。
「私のことも思い出せないなら、これ以上のあなたとの遊戯に価値は無いわね。……さようなら、アネモネ」
限界まで弦を引き、イレインは矢を射る。放たれた矢は白銀の煌く尾を引きながら、ただ無抵抗に立つアネモネの体を貫いた。
痛い。体が痛い。動けないよ、痛くて。
でもそれ以上に、心が痛い。 どうしてだろう。辛いよ、助けてほしい。
あぁ、私は……大事なひと、結局守れなかったんだ。
私は、よわいから……私は、何も守れない。私は、やっぱり無力で……
『まだまだ強くなるんだろ?』
そう言ったのは、誰だっただろう。
あぁ……そうだ……やくそく、したけど……私は、だめだったよ……
わたし、強くなんて、なれなかった……ごめんな、さい……
たいせつな、ひと、守れなかった……メア君、ごめんね……よわいわたしで、ごめんなさい……
「……――さ、ん」
……最後に、あなたにあいたかった。
倒れたアネモネを見下ろす彼女の、その瞳にもう感情はなかった。ただ冷めた眼差しで、瞳の中に血まみれのアネモネを映す。
「……イレイン、終わったなら……約束。彼を助けてあげて」
無言でアネモネを見下ろすイレインに、その背後でイリスが声をかける。彼は同じく血塗れのメアを抱き上げ、「早くしないと、彼でも手遅れになる」と言った。
「いくら悪魔でも、これ以上ほっといたら死んじゃう」
「……悪魔? ふふ、蘇生術なんて使える悪魔がいるかしら」
「……堕天した存在なんて、悪魔と似たようなものでしょう」
イレインは冷めた眼差しのままイリスに振り返り、メアを抱く彼の元へと歩みを進める。そして彼女は小さく呪文を唱えた。直後、メアの体を球状の魔法陣が包み込み、彼の体の傷が塞がっていく。否、まるでそれは時間が戻されるかのように、貫かれた体と共に服の損傷も修復されていった。
「きゅうぅ~っ! きゅうぅ~っ!」
「……大丈夫だよ、うさこ。君の大事な人は、死んでないよ」
イレインがメアを助けたのを確認すると、イリスは足元で泣くうさこを一緒に抱き上げる。うさこは泣きながらメアに抱きつき、まだ意識を失っているメアの頬を小さな手で何度も叩いた。
「その子は、それでいいでしょう? 私にとってはもう、その子は何の興味も無い。こうして生贄の血を吸ってバルタザールが完成した今は、用なしなの」
イレインはそう言うと、メアから視線を逸らして再びアネモネの元へと歩む。イリスは小さく頷き、「彼は私が送り届けるから平気」とイレインに告げた。
「好きにすればいい。あぁ、でもこっちも運んでくれない?」
イレインは振り返り、足元のアネモネを指差す。イリスは何も言わず、静かに頷いた。それを見て、イレインはまた唇の両端を吊り上げて笑う。彼女は視線をアネモネに落とし、独り言のように呟いた。
「これで終わりだなんて思わないでね、アネモネ。もっと私を楽しませてくれないと、私が困るの。ねぇ……あなたには新しい玩具をあげるから、もっと私と遊びましょう? カスパールなんて半端な玩具は捨てて、新しい玩具をあげるから……」
【死に至る花 05 了】
12期へ続く。
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