アネモネのPSO2での冒険の記録です。 マ○オが攻略できないライトユーザーなので、攻略に役立つような内容はないです。 まったり遊んでる記録を残してます。更新も記事の内容もマイペースです。 リリパ成分多め。りっりー♪ (所属シップ・4(メイン所属)&10 メインキャラ:アネモネ サブ:メア、アネモネ(デューマン) 他) ※ブログ内の私のイラストは転載禁止です。
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ラッピー?「きゅっきゅ…あぁ、心配だきゅ…」

冒頭から一体このラッピーは何を心配してるんでしょうね…
その答えは…また小説を書いたのですが、その小説を読むとわかるよ!(宣伝…?)

ええと、なんかまたPSO2で小説書きましたw

しかし今度はアーリィメインにしたのですが…
うう、私は一人称視点の文章が得意なのですが、アーリィ視点で物語を書くとなんかすごくおかしな話になっちゃいそうだったのでやめました…そしたらなんか逆に物語がまとまらない結果に!
(アーリィのキャラがぼんやりで何を考えてるのかわからないって子なので、そんな子視点で物語を書くと不思議ワールドなお話になってしまうのですよ!)

文章とは難しいですね…とにかくまとまらず、長くなってしまって…途中までしか書いてないのですが、前編ということで公開しちゃうことにしました。
公開しちゃえば、ツヅキを書かなきゃいけない気がしてくるからね…自分を追い詰めてみるよ!

そういうわけで、小説第二段です。
メア君のときみたいなシリアスなドラマはないかもですが、そのかわりギャグとかには少し力入れました。まぁ、興味あればよろしくなのです(*´ω`*)ノ

※ちなみにキャラクターはメアとアーリィとアネモネらしき何かしか出てきません。
前編ということで、途中で終わってます。


【凍土の試練@前編】

 この日アーリィはメアと共に、凍て付く気候が不可解なナベリウスの凍土エリアに来ていた。
 何故ここに彼女が来たのかというと、それはアークスとしての実力を示して次なる調査エリアへの立ち入りを許可してもらう試練を受けるためだ。
 それはアークスの誰もがいつかは通る道であり、メアもアーリィより数ヶ月先に同じ試練を受けて次の調査エリアである『惑星リリーパの坑道エリア』の調査許可証を無事に受け取っている。そういうわけでいまやすっかりアーリィの先輩であるメアが今回付き添いで、彼女の試練に付き合う形で一緒に凍土へと来ていた。
 
(……ったく、アネモネさんが付き添いでくればいいのに。何で俺なんだよ……)
 
 アネモネの命令でアーリィに付きそうことになったメアは、白い息を吐きながら恨めしそうな表情で一面の銀世界を見つめた。正直、寒いのは苦手なのだ。なぜわざわざ自分が付き添いに……と、メアはもう一度深い溜息を白く吐き出した。
 そんな彼の後ろでは、マイペースなアーリィがしゃがみこんでなにやら雪を丸めている。それに気づき、メアはどこか疲れた様子でアーリィに視線を向けた。
 
「……アーリィさん、何してるんですか?」
 
「雪、丸めてる……雪だるま作れそうだから」
 
 メアを見ないまま、雪を一生懸命に丸めながらアーリィは答える。そのアーリィの返事を聞き、メアはますます疲労したような顔となった。
 
「アーリィさん……遊んでる暇、ないんですよ?」
 
「……ん」
 
 メアが少し注意気味にアーリィへ声をかけると、アーリィは無表情に雪玉を手放して素直に立ち上がる。そして彼女は「行く」とメアに言った。
 
「今日はなんか、私の試練なんだよね……」
 
「そうです。だからアーリィさんが頑張らないと」
 
「ん、わかった」
 
 一応今日のクエストの主旨は理解しているらしく、アーリィはそう答えて頷く。メアは内心で『本当に大丈夫かなぁ』と思いつつ、アーリィに「それじゃあ俺が先導するんで、行きましょう」と言った。
 
 
 
(ええと、アーリィさんはフォースなんだよな……ということは、俺がちゃんと前衛として動かないと危ないな……なんか声が大きいハンターのセンパイさんも、そんなようなこと言ってたし……)
 
 ざくざくと深く積もった雪を踏み固めて進みつつ、メアは進むべき先を見つめながら考える。そんな彼の後ろを、アーリィがおぼつかない足取りで歩いていた。
 
(ここの最深部に潜んでいるのはたしか大きな獣だったな……あれは俺も結構きつかったし、アーリィさん守りながら戦えるかなぁ……)
 
「……おぶっ」
 
 考えながら歩くメアの後ろで、何か変な声が聞えてくる。驚いたメアが後ろを振り返ると、雪の中に顔を突っ込んで倒れているアーリィがいた。今の妙な声は、雪に足を取られて転んだアーリィの悲鳴だったのだろう。
 
「アーリィさ……だ、だいじょぶですか?」
 
 驚き、メアは慌ててアーリィに駆け寄る。メアが助け起こそうとすると、アーリィはそれより先に自力で起き上がって、自分の顔に付いた雪を払った。
 
「アーリィさん……本当に今日、大丈夫なんですか?」
 
「? なんで?」
 
 幸先不安すぎるメアに対して、アーリィはキョトンと目をまるくして「大丈夫だよ?」と当然のように答える。メアは既に頭が痛くなりそうだった。
 
(くそー、ますますアネモネさんを恨みたくなってきたぞ……)
 
 アネモネに文句を言いたくなりながら、しかし今はそのアネモネがいないので、仕方ないとメアは怒りを抱きながらもアーリィを連れて雪道を進んでいった。
 
 
 
 道中ではダーカーの影響を受けて凶暴化した原生生物やダーカーが襲い掛かってくるが、それを二人は撃退しながら奥へと進んでいく。


「……ふぅ。こんなものかな」
 
 剣を下ろし、メアは白く息を吐きながらそう呟く。襲ってきた小型の原生生物を退治し終えたことを確認し、彼は少し遠くにいたアーリィに視線を向けた。
 
「アーリィさん、怪我ないですか?」
 
 アーリィはロッドを持ってぼーっとしていたが、メアが声をかけると彼のほうを向いて無表情に頷いてみせる。メアはそんなアーリィの様子に少し困惑しつつも、剣を仕舞った。
 
(マジで大丈夫かな、この人……)
 
 何を考えてるのかイマイチわからないアーリィに、メアは疲労と困惑の表情を浮かべる。そうして彼は先へ進もうと歩き出したが、すぐに彼は足を止めた。理由は、アーリィがついてくる気配がなかったからである。
 メアはもう一度後ろをふりかえり、アーリィに視線を向けた。
 
「アーリィさん?」
 
 メアが呼ぶと、何故か後ろを見ながら立ち止まっていたアーリィが振り返る。メアが「どうしたんです?」と聞くと、アーリィは再び視線を元来た道の方向へ戻した。
 
「?」
 
 いったい何なのかと、メアが眉根を寄せる。彼はもう一度アーリィに声をかけた。
 
「アーリィさん、行かないんですか? 置いて行っちゃいますよ?」
 
 するとアーリィは、今度はメアに背を向けたままでこう口を開く。
 
「だってメア、さっきからなんかラッピーが後ろをついて来るんだもん」
 
「は?」
 
 不可解なアーリィの言葉に、メアは「どういうことですか?」と問う。するとアーリィはメアの方を向いて、じっと今まで見ていた方向を指差した。
 
「あそこ、ラッピーがいる」
 
「……?」
 
 アーリィの言葉を聞き、メアは考えながら彼女が指差す方向へ視線を向ける。
 
(ラッピーって、あのどこの惑星にも姿を現す謎の黄色いアレかな……)
 
 まぁ、あの鳥ならばどこにでも出没するし後ろをついてきていてもおかしくないなぁと、そうメアは納得する。なので彼はアーリィへとこう告げた。
 
「アーリィさん、ラッピーなんてそこまで珍しくもないでしょ。ほら、時間切れになっちゃう前に行きましょう」

「でもメア、あのラッピーは緑だよ?」
 
「はぁ? みどり……?」

 
 緑色なんて確かにおかしいと、メアはアーリィの元へ歩いていく。そして彼もアーリィと共に並び、彼女が指差す方向をよーく観察した。
 すると雪が積もった岩山の影に、確かに緑色をした”なにか”が隠れるようにして存在していることに気づく。目を細めてよく見れば、それは確かにアーリィの言うとおりラッピーのようだった。
 だが、しかし……
 
「……いや、アーリィさん……あれは……」
 
 二本の触覚に胴より大きな頭、特徴的なくちばしに大きな目玉のその生き物は、確かにみんなが知っているラッピーという鳥のような生き物だ。
 だかそのラッピーは全体のカラーがよく見かけるそれとは違い、黄色ではなく緑色だった。さらにサイズが微妙におかしい。まるで中に何か人でも入っているかのような大きさのラッピーが、そこにはいた。
 
(というか、あれで隠れてるつもりなのか……?)

 
 おもいきり重そうな頭と目立つ触角二本が岩陰からはみ出ているのだが、ラッピー(仮)は体を岩陰に隠してこっちをじっと見つめている。まるで自分たちを見ているかのようなその様子に、メアは胡散臭いものでもみるかのような顔でラッピー(仮)を凝視した。
 
「ねぇ、メア……あれ、ラッピーだよねぇ? どうして緑なのかな……ホントはラッピーじゃないのかな?」
 
 アーリィの疑問の声に、メアは数秒考えてからこう彼女へ返す。
 
「どうでしょうね……ただ、俺の知るラッピーは背中にガンスラッシュなんて背負ってなかったと思いますけどね」
 
 メアがそうわざとらしく声を大きくしてそう言ってみると、ラッピー(仮)は何か一瞬慌てたように震えた後に、背負っていたガンスラッシュを消す。だが相当焦ったのか、一瞬ガンスラッシュをツインマシンガンに切り替えたのをメアは見逃さず、彼は確信した。
 
「あれ、中身アネモネさんだな……」
 
 自分にアーリィを任せておきながら、結局心配で変装してこっそりついてきたのだろうか。
 メアは『ついてくるなら最初から自分が行けよ』とか、そう正直な事を思いながら、呆れた顔で今日何度目かの溜息をついた。そんなメアにアーリィが不思議そうな顔で声をかける。
 
「メア、あのラッピー、やっぱ何かおかしい? まず、色おかしいよね……どうしたんだろ」
 
 アーリィはラッピーの中身に気づいていないらしく、心配そうな表情で彼女はそんな事を言う。そんな彼女にメアは「そーですねぇ」と緩く返事を返し、おもむろに彼は背負った剣を再び手に持ち構えた。
 
「あのラッピーおかしいですね……ちょっと切ってみましょうか、特殊なレアを落とすかも」
 
 冗談なのか本気なのかわからないが、メアはラッピーの中身を理解しながらそんな事を言う。それを聞き、アーリィは顔色を変えて「ダメ」と言った。
 
「えー、だめ?」
 
「ダメだよ、メアは見てなかったかもだけど、ラッピーさっきからなんかね、ダーカーとか一緒に退治してくれてたんだよ? あのラッピーいいラッピーだよ、色変だけど」
 
「ふーん……」
 
 メアがさして興味無さそうに返事をすると、アーリィは不安げな表情で「それにグラインダー落とすだけだよ」とメアに訴えた。
 
「どうでしょう? ……あぁ、オーバーエンドしてみたら中身が出るかも」
 
「それ、内臓? だ、だめ……内臓拾ってどうするの? フランカさんしか喜ばない……」
 
 アーリィは段々不安になってきたのか、「あの子をいじめちゃだめ」と言いながらラッピーの元へと走り出す。すると急に自分の元へと向かって来たアーリィを見てか、ラッピーは驚いたように一瞬体を震わせた後、アーリィたちに背を向けて一目散に駆け出した。
 
「あ」
 
「あー……」
 
 アーリィが驚いて「待って」という後ろで、メアが無言で剣を構える。そして彼は「手が滑ったー」と棒読みに言いながら、ラッピーへ向けてソニックアロウをぶっ放した。
 
「っ」
 
 自分の直ぐ傍をフォトンの斬撃が横切り、アーリィは驚いたように足を止める。そしてメアの攻撃がラッピーに直撃するのを見て、アーリィは目を丸くして「ラッピー!?」と叫んだ。
 
「いたっ!」
 
 ラッピーはラッピーらしからぬ悲鳴をあげ、雪の上に倒れ込む。だがたいしてダメージは受けていないようで、ラッピーは「いたいー」と言いながら雪の上でジタバタともがき始めた。一応手加減をしていたメアなので、彼にはまぁ大体予想通りの展開だ。
 
(ま、アネモネさんだったら俺たちよりは強いし、これくらい平気だろ)
 
 それにしてもフォトンアーツを迷いなくぶっ放すメアもメアである。メアは剣を仕舞い、驚き茫然としているアーリィに声をかけた。
 
「アーリィさん、今がチャンスです。今のうちにその怪しいラッピーを捕獲ですよ」
 
 メアがそう言うと、アーリィはハッとした様子で顔を上げる。だが彼女はラッピー捕獲には動かず、怖い顔でメアへと振り返って、何故だか彼の元へ走った。
 
「ひどい! あのラッピー殺した! メア、ひどすぎる!」
 
 アーリィは本気の涙目でポコポコとメアをロッドで殴り始める。攻撃力が低いロッドと言っても痛い事は痛いので、メアはガードしつつ「ちょっと、止めてください」とアーリィに訴えた。
 
「メアのばか! かわいそう! あの子、さっき私のこと助けてくれたんだよ!」
 
「ちょ、アーリィさん落ち着いて……っていうか、ラッピー元気だから!」
 
 ぽこぽことメアを殴るアーリィの隣で、いつの間にかあの緑ラッピーが彼女と一緒になってメアの体を殴っていた。そんなラッピーを指差して、メアが「すごい元気じゃないですか、ほら!」とアーリィに言う。
 
「つーかラッピー、お前どさくさに紛れて殴るの止めろ!」
 
「やめないよー! 今、普通にダメージ受けたぞーおいいー!」
 
 ラッピーは普通に人の言葉を喋りながら、アーリィと一緒にメアをボコボコと殴っている。そんなラッピーにメアは「あーもうごめんなさい!」と謝り、とにかく落ち着いてもらうことにした。
 
「謝りますから落ち着いて……もー、やめてくださいよー」
 
 メアがそう謝ると、ラッピーは攻撃を一先ず止める。アーリィもラッピーが元気にメアを殴ってる姿を見て安心したのか、ロッドを仕舞って「ラッピー生きてた、よかった」と呟いていた。
 
「ところでラッピーって喋れたんだね」
 
 アーリィのその一言に、ラッピーが驚いたように肩を震わせる。この巨大で色が怪しいラッピーは人の言葉を喋ったのに、アーリィはそれでもこれを本物のラッピーと信じて疑わないらしい。メアは呆れた様子で溜息を吐き、こう口を開く。
 
「アーリィさん、これ中身ア……」
 
「きゅー! ラッピー、喋れるんだきゅー! きゅっきゅうぅ!」
 
 メアがラッピーの中身について口を開こうとすると、ラッピーがそれを遮ってそう大声で説明をした。
 語尾に『きゅ』をつければ許されると思っているのだろうかと、メアはラッピーに冷めた眼差しを送る。だが元々ラッピーだと信じきっている様子のアーリィは、「そうなんだ、すごいね」と疑うことなく感心していた。
 
「何で喋れるの? 緑色なことと、関係が?」
 
「……そうきゅ。ラッピーは選ばれしラッピーなのだきゅ。だから喋れるし、緑色なんだきゅっきゅ」
 
「ほぅ……興味深い。戦えるのも、選ばれしラッピーだからなのかな」
 
 まるで説明になっていないのに、アーリィはラッピーの説明に納得する。呆れるメアを余所に、ラッピーはアーリィに説明を続けた。
 
「ラッピーはこの寒い凍土にやってくるアークスをこっそりと助けるのがお仕事なんだきゅっきゅ。だから戦いも余裕っきゅ」
 
「そうなんだ、ラッピーえらいねぇ」
 
「きゅっきゅっきゅ……」
 
 ラッピーは自信満々に笑いながら胸を張る。そんなラッピーを、メアはやはり冷めた眼差しで見つめた。そんな冷めた眼差しのまま、メアはラッピーに声をかける。
 
「で、ラッピーさん? は、なんなんですか。なんで俺たちの後、つけてたんです?」
 
「そ、それは……だから、ラッピーはこっそりアークスを助けるのがお仕事なんだきゅ……」
 
 ラッピーのその言葉に、アーリィは「やっぱり私を助けてくれたの?」と目を輝かせる。ラッピーはやや迷いながらも、「きゅう」と頷いた。
 
「……へぇ」
 
「きゅう……メア君は何か言いたそうだきゅーね」
 
「っていうか、どーして俺の名前知ってるんですかねぇ」
 
「きゅ!? そ、そ、それはラッピーだって……選ばれしらっぴ……とにかく知ってるきゅ! ラッピー色々知ってるんだきゅ! 物知りなラッピーだけど、そんなラッピーの事についてはあんまり追求しないでほしいっきゅ! ぷらいばしーのしんがい、なんだきゅー!」
 
 ラッピーは自分勝手にそう言うと、背を向けてまた何処かへ駆け出そうとする。だがそれをメアは許さなかった。
 
「ちょっと待て」
 
「ぎゅえっ!」
 
 先ほどは足止めにソニックアロウをぶっ放したメアだが、今度は反省してか武器は使わずに、去ろうとしていたラッピーのお尻部分を手で掴んで引き止める。だが急にお尻を引っつかまれたラッピーは、前のめりになって悲鳴と共にその場に倒れた。

 「あ、すみません」
 
「きゅーっ! メア君はいいかげんにしろきゅーっ! 痛いきゅー! きゅっきゅ! ラッピーのアイデンティティでキュートなふわっふわの毛が抜けたらどうするんだきゅー!」
 
 ぷりぷり怒りながら立ち上がったラッピーに、メアはあまり反省して無さそうな様子で「それより」と声をかける。
 
「それより?! なにそのスルー!」
 
「それよりラッピーさん、こっそり後つけてくるつもりなら、普通に俺らと一緒に来て下さいよ。めんどくさいから」
 
「な、なな、なにを言ってるんだきゅー!」
 
 バタバタと羽を動かして大慌てな様子を見せるラッピーに、メアは首を傾げながら「どうせ俺らのこと、心配で後つけてきたんでしょ?」と聞く。するとラッピーは急に明後日の方向を向き、こんなことを叫んだ。
 
「あぁ、あっちに黄金に輝くナウラのケーキ屋があるきゅー!」
 
「え、なにそれすごい、どこ?!」
 
 ラッピーの叫びを聞き、今までぼーっとメアたちのやり取りを眺めていたアーリィが、急に目を輝かせて走り出す。アーリィは「ケーキ」と言いながら、ラッピーが指差した明後日の方向へと駆けて行った。
 そうしてアーリィがこの場からいなくなると、ラッピーがメアへと近寄って小声でこう話しかけてくる。


「ちょっとメア君、私こう見えてラッピーじゃなくてアネモネなんだけどさぁ」
 
「知ってますよ。どっからどう見てもアネモネさんじゃないですか」
 
「……とにかく中身は私だけど、それがアーリィにバレちゃマズイのよ」
 
「なんでです?」
 
 ラッピー……もとい、アネモネの訴えを聞き、メアは怪訝そうに顔を顰める。するとアネモネはこうメアに説明をした。
 
「今日はアーリィの大事な試練でしょう? それで、アーリィ張り切ってたわけですよ。『一人で頑張る』って」
 
「はぁ……」
 
「でも、さすがに一人じゃ不安だから、最初は私が一緒についてくよって言ったのね。でもアーリィってば、『自分で頑張ってみせる、大丈夫だからアネモネは付いて来ないで』って聞かなくて……」
 
 アネモネは溜息と共にそういい、それを聞いたメアは「じゃあなんで結局俺が一緒なんですか?」と当然の疑問を問う。アネモネは首を傾げながら、こう答えた。
 
「うんとね、やっぱり一人じゃ心配だからって私が説得したら、私以外と一緒ならいいよって言ったから……だからメア君にサポートとして今回、お願いしたのですよ」
 
「……うーん、なるほど理解できました」
 
 アネモネの話を聞き、メアは頷きながらそう返事をする。しかし直後に彼は「でもどうしてアネモネさんじゃダメなのかな」と、疑問を呟いた。
 
「ねー、どうしてだろう」
 
「アネモネさんが頼りないから、ですかね」
 
「ほー?! この主成分が”頼り”でしか出来てない私を前に、そんなことを申すか! ほー!」
 
「はいはい、落ち着いてください。それで、俺に頼んだけど結局心配で自分もこっそりついてきたってわけですか?」
 
 メアの問いかけに、アネモネはでかいラッピーの頭部を揺らして頷く。それを見て、メアはもう一度「なるほど」と呟いた。
 
「それでラッピーの着ぐるみを……」
 
「まぁ、そういうわけなのです。『絶対にアネモネは来ちゃだめ! 来たら怒るよ!』とまで言われてるからね」
 
 そう言うとアネモネは「だからメア君、アーリィに私の正体ばらしちゃだめだよ」と、囁く声音でメアに注意する。メアはやや呆れながらも、しかし理解は出来たので「わかりました」と素直に頷いた。
 するとそこに、アネモネが叫んだ架空のケーキ屋を探して走っていったアーリィが、しょんぼりとした顔でメアたちの元に戻ってくる。
 
「ケーキなかった……」
 
 しょんぼりとしながら、アーリィはそう呟き帰ってくる。そのアーリィの様子に罪悪感を感じたアネモネは、「元気だすきゅー」とまたラッピーモードになってアーリィに声をかけた。
 
「ラッピー、もしかしたら侵食ラグネかなにかと見間違えたのかもきゅー。ラッピー、うっかりだから……ごめんきゅっ」
 
「どう見間違うんだ、それ……」
 
「メア君はちょっと黙れきゅー。アーリィちゃん、ホントごめんきゅー」
 
「ううん、見間違いは誰にでもあるから……ラッピーは悪くないよ」
 
「ありがとうきゅー、アーリィちゃんは優しくていい子だきゅー。ラッピー、感激したきゅー」
 
「そう……?」
 
 アネモネはアーリィの手をとり、驚くアーリィにこんなことを言う。
 
「決めたきゅ! ラッピー、心優しいアーリィちゃんのお手伝いをするきゅー!」
 
「へ?」
 
 どうせこっそり後をつけて行っても完全にもうバレバレなことを悟ったアネモネは、メアの言うとおり堂々と一緒に行く事を選択したらしい。アネモネはアーリィの手を握ったまま、「一緒に行っていいきゅ?」と聞いた。
 するとアーリィは意外にも、迷う様子を見せる。
 
「うんと……ラッピー、私今ね、大事な任務っていうか……そーいうのの真っ最中なんだけど……」
 
「きゅっきゅ? ラッピー、ついてっちゃダメきゅ? ラッピーがんばるきゅ! 足手まといにはならないきゅー!」
 
 アネモネが自分をアピールすると、アーリィはやはり迷いつつ「うーん」と曖昧に頷く。そんなアーリィに、メアもこう声をかけた。
 
「いいじゃないですか、アーリィさん。怪しいラッピーですけど、一緒にきてもらいましょうよ。戦力は多いほうがいいですって」
 
「怪しいは余計きゅ!」
 
 アネモネのツッコミは無視して、メアは「ね? そうしましょう」とアーリィに語りかける。するとアーリィはメアに向き直り、何か納得いかなそうな顔をしながらも「わかった」と頷いた。
 
「じゃあ、ラッピーも一緒……でもメア、このことアネモネには言わないでね」
 
「? どうしてですか?」
 
 アーリィの不可解な訴えに、メアだけじゃなくラッピーの中身も不思議そうな様子で「なぜきゅ」と呟く。するとアーリィは真剣な顔で、こう答えた。
 
「だって……ほんとは私、一人で頑張りたいから……」
 
 複雑な内心をそのまま表情として映し、アーリィは小さくそう呟く。本当ならば、メアが一緒なことにも彼女は抵抗があったのだろう。それでも彼が一緒じゃないと凍土へ向かう事をアネモネが許可してくれなかったので、アーリィは妥協していたのだ。
 
「うんと、だから……一人で出来るって、証明したかったんだけど……私、弱いけど、でも……頑張れるんだって、アネモネに……その……」
 
 自分の考えが上手く言葉としてまとめられずに迷うアーリィに、メアが何か声をかけようと口を開きかける。しかし彼が声をかけるより先に、アネモネがアーリィに声をかけた。
 
「うんうん、アーリィちゃんは一人で試練をクリアしたいんだきゅね。えらいきゅー」
 
「う、うん……でも、アネモネは私にはムリみたいに言うから……結局メアと一緒だし……私、きっと信用されて無いんだ……」
 
「そんなことないきゅ。アーリィちゃんにもきっと出来るって、アネモネもそれはわかってるきゅよ。でも、アネモネはただ心配なだけだきゅーよ」
 
「そう、かな……」
 
 アーリィは自信無さげに下を向き、「アネモネに頼らないで、私も頑張れるって……せめてそれだけは、あの人に証明してみせたいな」と呟く。その健気な言葉にラッピーの中身が一瞬ぎょっとしたように震えたが、中身の人は「大丈夫きゅ!」と元気な声でアーリィに言った。
 
「アネモネはアーリィちゃんが頑張っていることも知ってるきゅ! そしてアーリィちゃんが出来る子だってことも、きゅ! だから自信持って、試練クリアしに行こうきゅ! それでアネモネに、『クリアしたよ!』って報告してやろうっきゅ! きゅっきゅ!」
 
「う、うん……ラッピーありがと、励ましてくれてるんだね……うん、出来るだけ頑張る、私……」
 
 いつも何を考えてるのかわからない無表情の多いアーリィだが、ぎこちなく笑ってそう礼を言う。そんなアーリィにアネモネは、ラッピーの中で涙した。
 
「う、ううぅ……本当にいい子だ……どこかのメア君とは大違いに素直で健気で……」
 
「おいこらラッピー、自分のキャラ忘れてるぞ。語尾にきゅを付けろよ、トリ野郎。あと、素直でも健気でもなくてすみませんねぇ」
 
 メアのキレた声は無視して、アネモネはアーリィに「頑張ろうきゅ」と声をかける。それにアーリィは頷き、そして彼女は改めて「それじゃ、ラッピーも一緒でいいよ」と言った。
 
「一緒にがんばろ……ね?」
 
「きゅー!」
 
「ちょっと、二人だけで勝手に盛り上がらないでくださいよ……もぉー」
 
 疲れたような言葉を吐くメアを置き去りに、アーリィとアネモネは早速最深部へ向けての行動を開始する。メアはそんな二人を溜息混じりに見つめ、やがて彼も「待ってくださいよ」と言いながら歩みを再開させた。


【たぶん続く…】

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無題
こんにちは!E-sanです

スクリーンショット付き小説ですか!するりするりと楽しく読ませて頂いております==)ノ

アーリィさん、マイペースに進んでいますね( ∵)よく道路でごろごろしているふわふわにゃーにゃーなアレに通じるものを感じます
なのでアーリィさん一人で今回の試験に臨むとしたら、制限時間45分では足りないのかも・・・と思ったりしました
ラッピー(仮)の心配のタネの一つなのでしょうか(´・ω・`)

メア君も大変な役割を引き受ける事に(;゜Д゜)いや試験のことではなく突っ込みの事です(爆
ガンスラやツインマシンガン(持ち替え間違い、焦るとやります私もw)で武装したラッピーがいたら疑う事は当然ですし、相方が試験中に雪だるまを作り始めたら「はよ行きましょうよ!」と発破かけるのもおかしな事ではないはず。

でもまあその・・・メア君って苦労しそうなタイプかもと思います(何

なんだかんだ上手くいって奥地まで辿り着けそうな御一行。
しかし!凍土と言えばアレですよねアレ。すごいでっかいネコ科と思われるアレです
大丈夫なのか・・?後編もひっそりとつづって下されば幸いです!


余談ですが皆さんが色々やっている所を見ると、時々私も何かやってみたくなったりします(だが、気まぐれ)辛うじて絵はそこそこ楽しみながら描けるかも・・・カ、カイテミヨッカナ

長くなりましたが、それではーッ ススクサー
E-san 2013/07/28(Sun)17:32:42 edit
新作りー♪
こんばんは
こちらにも失礼しますー(ノ∇≦*)

新作楽しく読ませていただきました♪
今回はアーリィさんの試練編ということですが、相変わらずメア君の心配&気苦労が尽きないですねぇw
でも、なんだかんだ言いながらもちゃんとアーリィさんのフォローをしたり、ラッピー(仮)の正体を黙っていてくれたりと、優しいイケメンっぷりを発揮されているようで( ´▽`)

3人のやり取りが楽しくて、笑いを堪えるのが大変だったり、でもそんな中にも、皆さんの他者を思いやる気持ちとかが見えたりで、和ませていただいたりしますねぇ(*´ω`*)

最終地点に辿り着くまで、まだまだ色々な事件が起こりそうですが、無事にアーリィさんの試練が終わるといいですね♪

後編も楽しみにしていますー!あ、でものんびり~と書き上げて下さいねw

ではではーヾ( ´ー`)ノ

こちらにも追記すみませんw
上記事はストーリー見てからのお楽しみにしておきます(≧д≦)ノガマンガマン
Ater 2013/07/29(Mon)16:53:00 edit
お返事
>E-sanさん

こんばんは、こめんとありがとですー(*´ω`*)
ひゃー、毎度小説を公開するのは恥ずかしいのですが、やはり楽しいし嬉しいですね!読んでくださってありがとです!
ちょっと今回は遊んでSS付にしてみましたw
ちなみに後半はSS無いといううわさですw

アーリィは、そうですね…とってもマイペースで…まさにネコかもです(´∀`;)
たしかに制限時間オーバーしますねwいえ、これでも緩くなった制限時間です…初期での過酷な試練は、たとえメアが一緒じゃなくてもアーリィはクリアできなかった可能性が…(((゜д゜;)))

ラッピーは、いつも胃が痛い毎日です…心配で心配で心配で…(´;д;`)(しかしこれがあれですね、親心というやつでしょうか!)

メアの役割はツッコミだったのか…!(戦慄)

武器もちかえはまちがえちゃいますよねー!いつも使ってるTMG系はもう武器パレになにせっとするか決めてるので間違えないのですが、属性がいっぱいの法撃武器とか普段使わない打撃武器は毎度切り替えで「あれ、なにこれちが…!」ってなりますw

え、武装したラッピーってフツウじゃないですかね?え…?
え、むしろナゼメア君が武装したラッピーを怪しんだのか…私にはそっちのが理解できないですぞ!(真顔)

はい…w
きっとメア君が苦労するぶんだけ、一行は最深部へたどり着く確率が高まりそうです(´ω`;)
しかしそのとおり、あの凍土の最深部に待ち構えるのは悪夢のケモノ…うう、倒せるのか不明ですが、まぁきっとかっこいい正義の緑ラッピーがいるからダイジョブですよ!(゜3゜)

後半はすでに7割書き終わってますw
早く公開できたらなってひそかにおもってますー(*´∀`*)ありがとですよ!


お、おお…!
E-sanさんもなにかを…!(*´д`*)
こ、これはなにかどきどきというか楽しみ…しかも、絵!
うわーーー凄く見たいですぞおお!
うんうん、創作は行動してみることが一番です!たのしいですし、ムリない程度に活動していただけたらなっておもいますよー!

それでは、またオラクルでよろしくですぞ!
感想すごーくありがとでしたー!


※お返事のツヅキはまた後ほど…うへへ、ありがとうございます(*´∀`*)ノ
アネモネ@管理人 2013/07/30(Tue)18:47:16 edit
お返事
>Aterさん

こんばんは!コメントありー♪がとです!
ううう、またまた読んで頂きうれしいです!(´ω`*)
なんだかまだまだ公開するのが恥ずかしいのですが、でもやっぱり反応いただくと嬉しいですね…うう、自信もてます!

メアはなんか、中間管理職みたいな気苦労ありのキャラみたいになっちゃってますw
優しいイケメン!め、メアにはもったいないお言葉ですぞ!w

なんだかキャラがいっぱいだと、シーンを書くのも楽しいです。
前回はメアとアネモネだけだったのですが、アーリィが増えるだけで文章量もかなり増量してしまって…ついついいろいろとやり取りを書きたくなるのですよねw

はい、この後すでに書き終えてる後編をアップする予定ですぞ!
きっと三人は最終地点まではいける…はずです!(*`・ω・´*)-3

ありがとです!
小説はでも勢いなので(私の場合は行動の全部が勢いですけどもw)、もう勢いで書き終えちゃったですw
でもでも、お気遣いはすっごく嬉しいのです!ありがとですー!

ではではでは、またよろしくなのです!
緊急でばったりなんてことがまたありましたら…そのときもよろしくなのですw(*´∀`*)ノ

追記:おおー、ネタバレあるので我慢ですー!
うう、でもけっこう個人的にはEP2のストーリーは楽しみな感じなので、見るのオススメですよ!
ちなみにあの記事の冒頭のかぼちゃのSSは本編とはなんら関係ないので安心してくださいですw
アネモネ@管理人 2013/08/02(Fri)18:38:55 edit
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